ちゃうワイン、ええ夜

ええやん、その温度。
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その夜のグラスには、
ぜんぜん性格の違う二人が入ってた。
ひとりは Dido。
もうひとりは、
モスカテルのくせに甘くない、
ちょっと反抗期の Insurrecte。
自分で選んで開けたわけやない。
「飲み」って言われて、
黙ってグラスを差し出したら、
えらいもんが注がれた。
こういう時、
ワインは味以上に、
気持ちまで一緒に入ってくる。
🍷 Dido La Universal
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Didoは相変わらず、
前に出てこない。
マカベオ、ガルナッチャ・ブランカ、カルトイシャ。
品種の名前を知ってても、
飲んでる最中はそんなこと忘れる。
果物より先に来るのは、
石、塩、乾いたハーブ。
アンフォラや古樽の丸みはあるけど、
樽が喋りすぎへん。
「美味しいですね」って言うより、
**「静かやなぁ」**って言いたくなる白。
こういうワインは、
誰かが横におらんと、
ちょっと寂しい。
🍷 Oscar Mestre
INSURRECTE – Moscatel Viñas Viejas
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こっちは正反対。
モスカテルって聞いて想像する世界を、
軽く裏切ってくる。
香りは確かに華やかやけど、
口に入った瞬間、
**「あ、これ噛めるやつや」**ってなる。
古い木、乾いた畑、
アンフォラ発酵、澱と一緒に寝かせて、
余計なことはせえへん。
甘さより、
皮の渋みと塩気。
時間が経つほど、
だんだん静かになっていく。
反抗期っていうより、
黙って芯のあるやつ。
🍷 ふたつ並べて思ったこと
全然ちゃう。
ほんまに、全然ちゃう。
でもどっちも、
「こういうワインを造りたい」っていう
意志だけは一緒。
はー、めちゃくちゃ美味かった。
全く違うタイプの素晴らしいワインを飲ませてもらえて、
ホンマに幸せもん、俺。
ありがとうございます。
