NVDE SBL 2022 — クリスタルの呼吸を聴くワイン
クリスタルの呼吸を聴くワイン
このワインは、
醸造という言葉よりも、
呼吸という言葉のほうがしっくりくる。
人が何かを決めるというより、
果汁が自分で進んでいく。
そんな時間の流れが、そのまま残っている。
NVDE SBL 2022 は、
Avgvstvs Forvm と
Thunder Winemakers
この二つの仕事が交わったところから生まれている。
畑はスペイン・カタルーニャ州、
バイシュ・ペネデスのボナストレ村。
面積はわずか0.4ヘクタール。
標高288メートル、
白く乾いた石灰質の土。
ぶどうはソーヴィニヨン・ブラン。
CCPAEのオーガニック認証を受けた区画で、
2022年8月16日、すべて手摘みで収穫された。
発酵は二つの器で進む。
全体の77%はステンレスタンク。
残りの23%は、
このワイナリーが独自に設計した、完全オリジナルのクリスタルタンク。
市販のデミジョンとは違い、
発酵の熱がこもらず、
果汁が自然に熱を逃がせる構造。
温度も、酸化も、ほとんど管理しない。
導き手は野生酵母だけ。
クリスタルの中では、
光がゆっくりと回り、
果汁は発酵熱を静かに手放していく。
音はない。
あるのは、泡のリズムだけ。
果実が、息をしているように見える。
発酵のあと、
ワインは9か月間シュール・リーで休む。
清澄も、安定化も行わない。
澱が自然に沈むのを、ただ待つ。
SO₂は添加せず、
総量は10ppm未満。
アルコールは13.4%。
pHは3.27、
総酸は5.1g/L。
残糖は1.6g/L。
生産本数は1,672本。
多くはない。
でも、その少なさが、
このワインの静けさを守っている。
グラスに注ぐと、
淡く濁ったストローイエロー。
香りは青りんご、白桃、フェンネル。
その奥に、潮風みたいな気配。
口に含むと、
最初に塩と柑橘のシャープさ。
時間が経つにつれて、
果実の丸みとミネラルが溶け合い、
最後には「透明な果実」だけが残る。
酸の輪郭ははっきりしていて、
ナチュラルワインにありがちな緩さはない。
一本の線のような清らかさが、
地中海の光を思わせる。
このワインを初めて抜栓した夜、
カウンターにはスープ・ド・ポワソンがあった。
焦げた魚の香り。
そこに重なる、NVDEの柑橘の酸。
焦げと海。
塩と果実。
火と水が、
一瞬だけ和解したような時間やった。
ナチュラルを語らないナチュラル。
それが、このワインの芯やと思う。
独自につくられたクリスタルの器の中で、
果汁は誰にも急かされず、
ただ世界と対話している。
ぶどうの声をちゃんと聴くと、
人間の言葉が、
どれほど騒がしいかが、
少しだけ分かる気がする。
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果物みたいに。
音みたいに。
ワインを、聴く。
