ホリス・ブラウンのバラッド

Bob Dylan “The Ballad of Hollis Brown”

了解。

ほな、冒頭に曲の背景をきちんと置いて、

そのあとにいつもの「くだものbob」文体で本文、

最後にさりげないアフィリエイトを添える形でまとめるね。

重たい曲やから、売り気は極力ひっこめます。

ホリス・ブラウンのバラッド

Bob Dylan “The Ballad of Hollis Brown”

この曲が生まれた頃の話

「The Ballad of Hollis Brown」は、

1963年のアルバム

『The Times They Are A-Changin’』に収められた曲。

ディランがまだ20代前半、

フォークシンガーとして

「社会の現実」を真正面から歌っていた時代や。

舞台はアメリカ・サウスダコタ。

実在の人物ではないけど、

当時の農村部に実際にあった貧困、孤立、

そして誰にも気づかれない絶望を

ひとつの物語として凝縮している。

抗議の声を張り上げる曲ではない。

訴えもしない。

ただ、

「こういう人生が、確かにあった」

それだけを淡々と置く。

その静けさが、

いちばん残酷や。

この曲には、

救いがない。

希望も、

比喩で包んだ優しさもない。

あるのは、乾いた現実だけ。

Hollis Brown lived on the outside of town

町の外れに住む男。

それだけで、

もう世界の中心から外れている。

助けを呼ぶ声も、

そもそも届かない場所。

Your baby’s eyes look crazy, they’re a-tuggin’ at your sleeve

赤ん坊の目が、

何かを訴えている。

言葉はない。

でも空腹だけは、

はっきり伝わる。

ディランは説明しない。

感情を盛らない。

ただ、その光景を置く。

それが、きつい。

この曲には、

分かりやすい「悪者」がいない。

警官も、

権力者も、

暴力的な敵も出てこない。

あるのは、

貧しさと孤立と沈黙。

誰も殴らない。

誰も叫ばない。

でも、

確実に追い込まれていく。

You spent your last lone dollar on seven shotgun shells

最後の1ドルで、

ショットガンの弾を7発。

ここで、

もう終わりが見える。

ディランは、

結末を引き延ばさない。

静かに、

確定させる。

There’s seven people dead on a South Dakota farm

感情のない一行。

新聞記事みたいな距離感。

だからこそ、

逃げ場がない。

この冷たさは、

怒鳴るよりも強い。

ホリス・ブラウンは、

狂ったわけじゃない。

悪人でもない。

ただ、

選択肢がなくなっただけ。

誰も止めなかった。

誰も気づかなかった。

それが、この曲のいちばんの告発やと思う。

夜にこの曲をかけると、

空気が一段、下がる。

ワインの香りを語る余裕もない。

グラスを持つ手が、

自然と止まる。

でも、

こういう夜も必要や。

ホリス・ブラウンのバラッドは、

昔のアメリカの話やけど、

終わった話ではない。

町の外れは、

いつの時代にもある。

声が届かない場所も、

今も残ってる。

ディランは、

それを叫ばない。

静かに、

歌として置いていく。

それが、

いちばん強い。

🎧 この曲を聴くなら

▶︎ Bob Dylan – “The Ballad of Hollis Brown”

(アルバム『The Times They Are A-Changin’』)

📀 アルバムで聴く

The Times They Are A-Changin’(Amazon)

📘 歌詞を読む

Bob Dylan “Lyrics 1962–2001”(Amazon)

🍷 今夜のワイン(あえて控えめに)

重すぎない赤ワイン(楽天市場)

香りを語る夜じゃない。

ただ、グラスがそこにあればいい。